教える資格

ある予備校の漢文の先生は、東大を目指す生徒に対して手を焼いたことがあるという。自身は、東大出身ではなく、生徒から東大を目指す自分たちに、東大出身ではない先生が教える資格がないのではないかと言われたそうだ。

それに対してこう答えたそうだ。確かに私は頭は悪く、受験も失敗した身である。しかし、漢文を教えて10年以上経つ。君たちに全科目で戦おうと思えば、当然負けるが、漢文においては、ずっとやってきているので、負けない。君たちが、東大に入って真剣に漢文を学べば、半年で追いつく可能性はあるが。と答えたそうだ。

以前から、東大出身でない先生に対してのいじりや悪口は聞いていたそうだ。だから、ある程度の準備がされており、完璧な返しになったのだろう。

必ずしも優秀なプレイヤーが優秀な指導者になるとは限らない。ただ、優秀なプレイヤーとしての実績がない人は、実績を作るか、圧倒的な指導力を身につけなければ生徒はついてこない可能性がある。

もとからセンスのなかった人の方が教え方が上手かったりするものだ。下手な人の立場に立ってものごとを見ることができるからだ。いずれにしても、優秀な生徒には、優秀な指導者が必要であるのは間違いない。しかし、優秀な指導者はセンスがなくても、努力や熱意によって、高いレベルの指導者になりうる。実績だけで、人を判断してはならない。