何も持たないものの良さ

特徴がないことは、今の個性を尊重していく社会においては、不利な状況と見られる。特徴がなければ、人とのコミュニケーションの中でも、周りはどのように扱ったり、接したりすればいいのかがわからなくなる。個性を伸ばしたいものだ。

しかし、特徴がないことは決して悪いことだけではない。人の真似ができる。自分に特徴がないと認識していて、自分に自信がなければ、人の良いところを素直に受け入れることができる。人の成長には、尊敬できる人から学ぶことが欠かせないからだ。

意外にも人から学ぶことができない人が多くいる。プライドが邪魔をして、自分のやり方を貫こうとする。もちろん、それで上手くいく人もいるだろうが、どこかで必ず伸び悩むことになる。自分の持って生まれたセンスだけではどうしても限界が来る。

自分に自信があったとしても、能力や成果が追いついていない場合もある。自分ではできたつもりでも、数値的な成果が低かったりすることで現実を知ることになる。それでも、自分のやり方を貫こうとする人は多い。自分がうまくいかないとことを人のせいにするのだ。まず、現実を受け入れることができないのだ。

そのため、素直で、謙虚な人ほど成長速度は速い。自分に自信がない人も、人から学ぼうとするし、周りの人以上に努力しようとする。

ソクラテスの「無知の知」という言葉は重い。自分が知らないことを知っている。自分の無知を認識するところがスタートなのだ。自分には特徴がないと思っている人も、伸び代は大きい。それを知っているのだから、これからの成長が楽しみだ。