先日、実家に帰省し、そこで父親が放った言葉に驚いた。時間が足りない。今、65歳をすぎているが、エネルギーに満ち溢れていて、行動範囲が広い。特に、執筆活動に力を入れていて、日本の歴史を自分なりの視点で解釈し、本を自費出版して、知り合いに配っている。
商売の才能は一切なかった。経営者として会社を起業したが、二度失敗して、先代から引き継がれた財産を多く失っている。エネルギーがあり、パワフルな人だったが、仕事には生かされなかった。
そんな父親も、年金だけでは暮らしていけないと思い、警備の仕事をするようになった。人から指図されるのは、気になるようで我慢しながら仕事をしているようだ。あとどれくらい続くのか観察している。特定の宗教にも入っていて、東京へ出張に行ったりもしている。
そんな父親は、家に帰ってスマホばかり見ている弟を責める。家に帰って、何か勉強したりするような姿勢はないのかと嘆く。父親は、スケジュール管理が難しいほど忙しい毎日を送っていて、弟のぐうたらな生活が目につくようだ。
しかし、弟も自由な時間の使い方をする権利はある。日中仕事はしているし、家での過ごし方で親から口出しされる筋合いはない。日本の社会人は、読書するなどの自己投資をしている人は半分もいないと言われている。何も追加の努力をしていない人がほとんどなのだ。
時間はどう使おうがその人の勝手だ。しかし、65歳を過ぎた親が、時間が足りないと言うのは、とても重みがある。今の目の前の時間を大切にしていきたい。