多汗症の悩み

手掌多汗症という病気がある。人の身体は、体温が上がると、汗をかいて温度調節をするようにできている。しかし、全く暑くないのにもかかわらず、手のひらや足裏が汗ばむ人がいる。それが手掌多汗症と言われるものだ。

手掌多汗症は、20人に1人の割合でいるという。その程度は人により、スマホが手のひらの汗で水没してしまうという例も聞く。実は、私自身も手掌多汗症であり、学生時代には、テストの答案用紙が濡れて困った記憶がある。人と手を繋ぐ機会には、地獄だった。相手に不快な想いをさせるのではないかと、悩んだ。

そういった悩みを抱えた学生時代に、手術をすれば治ると聞き、20歳の頃に手術を決意した。交感神経を切断して汗腺を抑える方法であった。副作用は必ず起こると言われたが、どうしても治したかった。手術後、手のひらの汗は改善された。

しかし、代償性発汗という副作用が起こった。気温が上がると、背中やお腹に大量の汗をかくようになり、以前とはまた違った悩みがでてきた。もしかしたら手術をしなければ良かったのではないかとも思ったが、交感神経を切断してしまったので、元には基本的に戻せないという。

今は、背中に汗をかくこともなんとか工夫で乗り越えることができている。もしかしたら、手のひらの汗について悩みを周りの人に打ち明けることができていれば、このようなことにはならなかったのかもしれない。

自分の決断と結果は変えることはできない。しかし、これからの自分の決断は十分変えることができる。自分の苦しんだ経験を活かして、今は少しでも周りの人を幸せにできればと思っている。